痛風発作が起きると、ほかのことが
何もできなくなるくらいの激痛を伴います。
歩けない、それ以前に
立ち上がれなくなってしまうほどの激痛とも。
痛風がなぜ起きるかというと、体内に
尿酸が過剰に溜まり結晶化してしまうことです。
結晶化した尿酸は、白血球が異物とみなして
攻撃を仕掛けてきます。
このため、炎症が起こり
痛風発作独特の激痛を引き起こすわけです。
痛風対策や予防をするためには、
いかに尿酸を体内に溜めこまないようにするかが
ポイントになります。
そこで注目されているのが、
アンセリンという栄養素です。
アンセリンとは、
β-アラニンとメチルヒスチジンという
2つのアミノ酸が結びついた構造をしている
ペプチドです。
私たち人間を含め、動物の骨格筋の中に
含まれている栄養素です。
マグロやカツオ、サケ、サメ、鳥類の筋肉に
特に多く含まれている栄養素といわれています。
もともとうまみ成分として知られていた
栄養素なのですが、マグロやカツオなど
長距離を高速で泳げる回遊魚の筋肉の中に
多く含まれることから、運動能力に
関係しているのではないかと注目されています。
そこで現在、世界中で
アンセリンの研究が進められています。
その結果、代表的な効果として
抗疲労効果と尿酸値降下作用のあることが
わかりつつあります。
抗疲労作用の実験に関して行われた事例があって、
慢性的な疲労やストレスを感じている
男女32名を対象に2つのグループに分けました。
そして一方にはアンセリンカプセルを、
もう一方にはプラセボのカプセルを摂取させました。
その結果、プラセボカプセルと比較して
アンセリンカプセルを摂取したグループは
摂取し始めてから1週間後から
はっきりとした疲労感の軽減が確認されました。
このため、アスリートを中心として
アンセリンの配合されているサプリメントを
摂取する傾向が高まっています。
尿酸値とアンセリンの関係性に関しても、
実験が行われました。
尿酸値は6.5ml/dl~8.0ml/dlの男性を対象にして、
こちらも抗疲労作用と同様で
プラセボとアンセリンを処方する2つのグループに分けて、
尿酸値の変動をデータにまとめました。
プラセボのグループは尿酸値が上昇したのに対して、
アンセリンのグループは尿酸値が減少に転じました。
7.0ml/dl以上が高尿酸血症の範囲なのですが、
実験前は平均7.19ml/dlだった数値が
2週間後には6.97ml/dlとなり、
正常値にまで低下しています。
このように尿酸値を下げた要因として、
2つのアンセリンの作用が関係している
とみられています。
一つは、尿酸を過剰に産生するのを
抑制してくれる効果があるからです。
アンセリンにはHPRTという酵素を
増やす働きがあります。
HPRTはプリン体が分解されて
尿酸を作り出さないようにするため、
プリン体にもう一度戻す働きがあります。
このため体内で尿酸が作られにくくなって、
尿酸値の低下につながっていると
考えられています。
もう一つは、尿酸の排泄機能の向上です。
尿酸は尿によって排泄されます。
この時、過度の飲酒や慢性的な疲労によって
乳酸がたまってしまうと、
尿酸の排泄を妨げてしまうことがあります。
アンセリンには乳酸の代謝をするLDHという
酵素の量を増やす作用もあります。
このため乳酸が体内に溜まりにくくなって、
尿酸をスムーズに尿として
排泄できるようになるわけです。
よって尿酸値を低くする作用は、
痛風予防に効果が期待できるとして
注目されています。
900万人を超える痛風患者と予備軍がいる
とも言われているので、
今後アンセリンを摂取する人も
増えるのではないでしょうか?
実際アンセリンの配合されているサプリメントも、
いくつかのメーカーで販売されつつあります。