痛風の改善法に
「水を1日に2リットル以上、飲みなさい」
というのがあります。
病院でよく指導される方法です。
2リットルといえば、2,000ccです。
あの、デカい(お茶の)ペットボトルが2リットルです。
あれ一本、まるまる飲むのです。
なんで、こんな指導をされるのか?
痛風は尿酸と関連があり、
尿酸値(血液中の尿酸の濃度)が高いと
痛風発作のリスクが高まるので、
尿酸値を下げましょう、となります。
尿酸値を下げるには、
体内で尿酸を多く作りすぎないようにするか、
できるだけ多くの尿酸を体外に排泄するか、
ということになります。
どちらも実践できれば一番いいのですけどね。
で。
できることから やっていきましょう、じゃないですけど、
まずは尿酸をできるだけ、多く排出しましょう、と。
体内で尿酸の生成を抑制するのは、なかなか厄介なので。
(尿酸降下薬を飲めば、一発で効果がでますが)
じゃあ、どうすれば、
尿酸を多く排泄 (ハイセツ) できるの?
尿酸は尿に溶けて、尿と一緒に体外に排泄されます。
それが大半です。
あと、便と一緒にも、尿酸は少し排泄されます。
汗は、残念ながら、尿酸の排泄量は、ほぼゼロです。
ということは、一番効率が良いのは、尿をたくさん出すこと。
尿をたくさん出そうといっても、そんなに出ないよ~
じゃあ、どうすれば尿がたくさん出ると思うの?
ここで・・
「水を飲みましょう」となるワケです。
まあ、たしかに。
飲まなきゃ、出ませんよね。
でもね。
ちょっと待ってください。
この「水を1日に2リットル以上、飲みなさい」ってのは、
いかにも “教科書通り” なんです。
その文言には、季節的要因は考慮されていません。
そりゃあ、夏はいいですよ。
汗もかくし、暑いし、2リットルの水でも
知らないうちにノルマをクリアしてしまうかも。
でも、寒くて身の縮む“冬”に
2リットルの水を飲め、と言われてもキツイです。
飲みたくもないのに、無理に水を飲みすぎると、
どうなるのか?
『腎臓に負担が かかるのです』
水というのは、体にとって、絶対的に必要なものですが、
飲みすぎると、腎臓に負担がかかります。
腎臓は濾過 (ろ過) を担当するので、尿酸の排泄も
腎臓が行うのですが、腎臓の機能が低下気味になると、
尿酸の排泄量も低下します。
あまり、望ましいことじゃありません。
季節要因も考慮せずに、ただ教科書通りに
「水を1日に2リットル以上、飲まなきゃ」と
実際、自分が飲んでみると・・壁にぶつかることになります。
つまり、
飲みたくもないのに、水を多量に飲み続けると
どうなるか?
「気持ちが悪くなります」
「体(お腹のあたり)が重くなります」
「いや~な感じになります」
尿酸をたくさん排泄するために、
できるだけ多くの尿を出す。
そのためには、なるべく多めの水を飲む。
それは何も間違っていません。
むしろ、正解です。
ですが、「飲みたくない」と感じるほど
飲むというのは、どういうことか?
体が “もう、これ以上は飲むな”
と信号を出しているのです。
体が自分に発する声を無視して、
「痛風なら、水を1日に2リットル以上のまなきゃ」
と、杓子定規に機械的に水を飲み続けるのは、
果たして、それで良いのか、どうか。
よく、水は喉が渇いてからじゃなくて、
水を喉が渇く前に飲め、とか言いますが、
それは夏の盛りの話です。
つまり、真夏の熱中症対策です。
秋冬の季節ならば、
喉も渇いていないのに、飲みたくもないのに
無理の飲みつづけると、
腎臓に負担をかける可能性もあります。
また、漢方医学(東洋医学)では、水分の過剰な摂り過ぎは、
「体を冷やす」と考えられています。
では、水は飲まない方が良いのかといえば、
尿酸をできるだけ排泄するという意味でも、
水は飲んだほうがいいのです。
じゃあ、どこまで?
どれだけなら、いいの?
どの程度、水を飲めばいいの?
1日何リットルを、などという
数字による線引きをせずに
臨機応変に対応するのがいいと思います。
基本は、喉が渇いたら飲む。
「“少し多めに” 水を飲む」
それから、水は、
水道水とかミネラルウオーターじゃなくても、
お茶でもいいです。
砂糖の入っているような清涼飲料水、炭酸飲料は
避けた方が無難です。