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◆ 痛風とビールと体質
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足が痛いので、どうしたんだ、と訊かれるので、
正直に「痛風だから」と答えると、返ってくる答えは、
十中八九、こう です↓
「旨いモノの食いすぎだろ!?」
だいたい、こんな反応。
痛風といえば、「贅沢病」だと思われている。
肉や魚をたらふく食いまくり、豪華絢爛、
贅沢三昧な酒池肉林。
これが痛風をよく知らない人が
「痛風」に対するイメージ。
痛風になんかなるヤツは、自業自得だ、とか。
バチが当たった、とか。
ああ、もう、説明するのも面倒なので、
そう言われたら、ヘラヘラ笑っておくことにしています。
いちいち、説明しても力説しても、
わからんヤツには、わからん。
こんなヤツに説明しても、埒が明かない。
痛風は、生まれつきの体質なんです。
みんな、プリン体の多い食事の摂り過ぎで痛風になる、
と思っているみたいですが、それは
痛風になる原因のうちの「2割」だけ。
だのに
「プリン体の多い食事の一覧表」を睨めっこして
食事に腐心しています。
いえ、それって、決して悪いことじゃなく、
むしろ、痛風の人には望ましいこと。
私も長年、何十年も厳しい食事制限をしてきましたが、
それって、ホント、つまんない食事人生ですよ。
食事だけが人生の楽しみではありませんが、
そんなこと、しなきゃ良かった、と思ってみたり。
そのおかげで、こんな程度の体で
済んでいるのかもしれませんが、食べたい放題でも、
たいして寿命は変わらないのかも。
まあ、そのあたりのことは、
自分の人生の終焉のときにならないと、
わからないことですが。
で・・
「2割」が食事由来ならば、残りの「8割」は何か。
残りは「体質」なんですよ。
生まれつきの体質。
遺伝です。
持って生まれた体質ってこと。
具体的に「体質」とは、どういうことか。
主に「エネルギー変換」と「新陳代謝」の二つ。
どちらも体内でプリン体が作られる、というシステム。
「エネルギー変換」というのは、
体内の栄養分を、体が活動するエネルギーに変換するときに
プリン体ができる、というもの。
「新陳代謝」というのは、
生きている以上、全身のあらゆる細胞が
新陳代謝を繰り返すのですが、古い細胞が壊れて
新しい細胞ができるとき、古い細胞から「核」
というものを吐き出すのです。
その、吐き出された「核」がプリン体に変わる、というもの。
痛風になりやすい体質(いわゆる、痛風体質)の人は、
生まれつき「エネルギー変換」や「新陳代謝」などの
体内で作られるプリン体(つまり「8割」の方)が多い場合が大半、
というか、まあ、多いわけです。
じゃあ、食事制限なんか無意味なのか、というと、
少ないとはいえ、「2割」を占めていますからね。
2割は少ない、と考えるとか、
2割もある、と考えるのか。
そのあたりは、人それぞれなのかもしれませんが、
病院の治療法としては、一昔前ほど、痛風だからといって
「厳しい食事制限を強いられることは少なくなった」
というのは、紛れもない事実。
ひらたく言えば、どうせ続かない (という人が多い)
厳しい食事制限を強要するよりも、それより
「尿酸値を下げる薬」を飲みなさいよ、と。
これが今の時代の痛風治療法の流れ、というか、
基軸になりつつあります。
「尿酸値を下げる薬 (尿酸降下薬)」というのは、
フェブリクやザイロリックなどの尿酸生成抑制薬が
一般的によく使われています。
でもね。
私の周囲の、痛風の人を見回してみると・・・
痛風の薬 (フェブリクとか、ザイロリックとか)
を飲んでるから、ビールを飲めるんです、とか。
痛風の薬のおかげで、肉ばっかり食べています、とか。
そんな人ばっかり。
本当は、いくら痛風が生まれつきの体質による要因が大きい、
といっても、まずは生活習慣の改善から。
しっかりと、プリン体の多い食事を減らして、
ビールもやめて禁酒して、運動もして、ストレス減らして、
減量して内臓脂肪も減らして肥満解消して、睡眠も充分とって、
不規則な生活は改善して・・・・
それでも「体質の大きな壁」というか、どうしても
尿酸値が下がらないなら、痛風の薬 (尿酸値を下げる薬) を飲む、
というのが順序だと思うのですが・・・・
現実には「ビールを飲みたいので、痛風の薬を飲む」とか
そんな人が多いみたいですよ。
それでも、尿酸値が低い水準のままならば、
それはそれで、正解なのかもしれませんけどね。