日本の痛風事情というか、昔は
あまり罹患する患者が多くなかったのです。
それが1960年代ごろから患者の数が
急増するようになりました。
これは戦後の高度経済成長期の時に、
食の欧米化が進み、動物性たんぱく質を
日々の食事の中で摂取するようになったことが
関係しているといわれています。
痛風の患者の数は増え続けていて、最近では
20代の若者や女性の間でも痛風に苦しむ患者が
増えているといわれています。
そこで徐々に痛風を治療するための
新薬の開発も進められています。
痛風に効果のある新薬が開発されることは
喜ばしいことといえますね。
最近注目されているのは、
フェブキソスタットと呼ばれる成分です。
そもそもなぜ痛風になるかというと、
体内で尿酸が過剰に産生されてしまうことが
関係しています。
尿酸が血液中に過度に含まれると、
溶けきれない尿酸が出てきてしまいます。
その結果、尿酸が結晶化して関節に刺激をもたらし、
炎症を起こしてあの強烈な痛みになるわけです。
尿酸の元になるのが、食べ物の中に含まれている
プリン体です。
プリン体が体内に入ると肝臓で
尿酸に分解されるわけですが、
この尿酸を生み出すのに酵素が
一役買っていることがわかっています。
その酵素が、キサンチンオキシターゼという酵素です。
先ほど紹介した新薬成分のフェブキソスタットには、
キサンチンオキシターゼの働きを阻害する効能があります。
その結果、尿酸の産生を抑制して
痛風の発症を抑えるわけです。
実はこのキサンチンオキシターゼの働きを
抑制する薬品として既に、
尿酸生成抑制薬というものがあります。
しかしこの尿酸生成抑制薬の場合、
阻害のメカニズムと薬を服用した後の
代謝・排せつ経路の異なる所がネックでした。
このため、活性代謝物が尿の中に含まれて
排泄される形をとるので、
腎障害を抱えている患者に対しては
大量の薬を投与できなかったのです。
フェブキソスタット(フェブリク)の場合、
この問題をクリアしている所が
注目されている理由の一つです。
フェブキソスタットは体内に入ると、肝臓で
まず代謝されます。
その後、一部は尿として、そして、その他は
便として体外に排出される特性を持っています。
このため、従来の尿酸生成抑制剤と比較すると
腎臓にかかる負担を大幅に軽減できるわけです。
腎機能が低下している患者であっても、
服用しやすくなっています。
臨床データによると、
1日1回のフェブキソスタットの服用で
尿酸の値を治療目標値まで引き下げることに
成功したとも言います。
海外でも臨床実験は行われていて、
血中尿酸値を治療目標値以下に低下させ、なおかつ、
その状態を維持させることに成功しています。
その結果、痛風関節炎の発現率も低下して、
5年後には関節炎が完全に消失した
という報告もあります。
高尿酸血症という痛風予備軍の患者は潜在患者も含め、
国内に1600万人いるといわれています。
増え続ける痛風や高尿酸血症の患者のために、
フェブキソスタット(フェブリク)は
今後、重要な役割を果たす可能性は大です。
フェブリクは副作用が(従来薬よりは)
比較的少ない、というのも魅力ですね。
長期に飲み続けることよる副作用は心配ですが、
尿酸値はしっかりと下げてくれます。