痛風とは、読んで字のごとく
「風が吹いても痛い」という激痛です。
突然 足の指の付け根の所に激痛を感じる症状が代表的です。
発症すると、しばらく痛みで動けなくなる
という人も多いです。
万力で足の指を締め付けられるような痛みと、
よく紹介されています。
そもそも痛風はなぜ起きるかというと、
体内に尿酸が過剰に溜まることが原因です。
尿酸はもともと血液には
溶けにくい性質があるのですが、
一定量を超えると結晶化してしまって
関節に溜まりやすくなります。
結晶が何らかの理由ではがれてしまうと、この
はがれおちた尿酸を
白血球は異物と認識して攻撃してしまうのです。
その結果、炎症が起きて
先ほど紹介した激痛になるわけです。
このメカニズムを見てみると、
尿酸をいかに体内に溜めないようにするかが
重要なポイントになります。
尿酸が体内にどの程度溜まっているのかを知る
バロメーターになるのは、血清尿酸値です。
健康診断などで
血液検査を受ける機会もあるでしょう。
血液検査の項目の中に必ず付いているはずなので、
確認してみることです。
高尿酸血症・痛風のガイドラインによると
7.0㎎/dlを正常値の上限と定めています。
7.0㎎/dlを超える尿酸値になっている人は、
高尿酸血症として
いつ痛風発作を起こしてもおかしくない状態にある
と認識してください。
痛風を回避するためには、
何よりも尿酸値を低くすることが優先されます。
その中で最近 注目されている成分があります。
それが、アンセリンです。
アンセリンとはペプチドの一種で、
動物の筋肉に含まれています。
特にマグロやカツオ、サケ、サメ、鳥類の筋肉に
多く含まれているといわれています。
もともと うまみ成分に深く関係しているので
注目されていたのですが、
マグロやカツオのような長距離を
高速で回遊できる魚に多く含まれることから、
運動能力のカギを握る存在として
研究が進められています。
そして研究の過程で、
尿酸値を低下させる作用があるのではないか
として注目されるようになったのです。
あるところが、
アンセリンと尿酸値の関係性に関する実験を実施しました。
6.5~8.0㎎/dlと尿酸値が高めな男性31名を
2つのグループに分類しました。
そして偽薬のカプセルを飲ませたグループと、
アンセリンを飲ませたグループで
尿酸値の変化を観察していきました。
その結果、
偽薬を飲ませたグループの尿酸値は上昇する一方で、
アンセリンを摂取したグループは摂取して
2週間経過したところで
尿酸値が降下する傾向が確認されました。
摂取前平均が7.11㎎/dlだったのが、
2週間で6.97㎎/dl、
4週間になると6.84㎎/dlにまで低下しました。
この結果を踏まえ、
アンセリンには尿酸を降下させる作用がある、
すなわち痛風に対して効果が期待できるとなったのです。
しかし、まだアンセリンが
どのように尿酸値低下に関わっているのか、
その具体的なメカニズムはわかっていません。
しかし2点が予測されています。
まずは、尿酸が体内で作られ過ぎないように
抑制する効果があるという仮説です。
アンセリンを摂取すると、
HPRTという酵素の一種の量が増えるとみられています。
HPRTはプリン体を分解すると本来できる尿酸を、
もう一度 プリン体に戻す働きがあります。
尿酸を発生しにくくしてくれるわけです。
そしてもう1つ考えられる仮説として、
尿酸の体外への排泄をスムーズにする効果がある
とみられています。
尿酸は体内に乳酸が過度に溜まると排出されにくくなります。
アンセリンには、
LDHという酵素の量を増やす働きがあります。
LDHには乳酸の代謝を高める働きがあるので、
乳酸を少なくして尿酸の排泄を促進すると考えられます。
この2つのどちらか、もしくはいずれかが機能することで、
アンセリンを摂取すると
尿酸値が低下するのではないかとみられているのです。