2022年1月13日木曜日

アンセリン 代謝

マグロやカツオは、大海原を回遊しています。

長時間かなりのスピードで

回遊しているといわれています。


カツオなどは、時速60㎞程度の速さで

移動し続ける能力を持っている

といわれているほどです。


なぜこれだけの速さで長時間移動できるか、

研究が行われました。

その結果、アンセリンという成分が

長時間疲れることなく泳ぎ続けることに

関係しているのではないか

と判明してきたのです。


筋肉100gあたりに含まれるアンセリンの量は、

メバチマグロで1260㎎、ミナミマグロで636㎎、

カツオも1070㎎となりました。

いずれも非常に多く含まれています。


私たちが体を動かすときに、

最初の内はテキパキと動けます。

しかし時間が経過すればするほど疲れを感じやすくなって、

体の動かし方も緩慢になります。


なぜ運動し続けると疲れを感じてしまうかというと、

エネルギー代謝のときに産み出される

乳酸が関係しています。

乳酸は疲労物質とも言われていて、体内に溜まると

どんどん疲れを感じやすくなります。

(近年では、乳酸は疲労物質ではない、

という説もあります)


マグロやカツオが長時間疲れ知らずで泳げるのは、

乳酸の代謝効率の非常に高いからだとわかってきました。

そして乳酸の代謝効率を高めているのが、

アンセリンなのです。


アンセリンには、

LDHと呼ばれる酵素を増やす働きがあります。

このLDHには、乳酸を代謝する働きがあります。

LDHが増えるということは、

乳酸の分解がそれだけ早く進められることになり、

疲れを感じにくくするわけです。


このため、アスリートの中には

アンセリンのサプリメントを

摂取する人も出てきています。

特に持久力が必要なスポーツを行っている

アスリートの間で、利用する傾向が高まっています。


アンセリンを摂取すれば、

乳酸が作り出されにくくなって 長時間連続して

高いパフォーマンスを維持できるからです。

そしてこの乳酸を代謝する働きは、

痛風患者にとっても大きなメリットがあります。


痛風は、文字通り

風にあたっても痛みを感じるという

激痛を伴う症状として知られています。

男性の中高年に見られる病気ですが、

最近では若年化が進んでいます。

30代、少数派ではあるものの20代の中でも

痛風発作を引き起こす人も見られるくらいです。


痛風がなぜ起きるかというと、体内に

尿酸が異常に蓄積することが関係しています。

プリン体という物質を分解するときに

できる成分なのですが、

通常は血液に溶けています。


ところが異常に尿酸が産みだされると、

血液中に溶けきらなくなって、

結晶となって関節に付着します。

この尿酸を異物と見なした白血球が除去に乗り出し、

この時に炎症を引き起こすことで、

痛みを引き起こすわけです。


この尿酸を少なくするためには、

尿として排泄する必要があります。

ところが肉体疲労や過度の飲酒などによって、

乳酸が体内に溜まっている状態だと、

尿酸の排泄効率を低くしてしまうのです。


そこで先ほど紹介したアンセリンの効果が

関与してきます。

アンセリンを摂取して、LDHの量を増やせれば、

乳酸をどんどん代謝できます。

乳酸が消費され、

尿酸をスムーズに尿として排泄できるようになります。


その他にも アンセリンには、

尿酸を生み出すプリン体の分解を抑制する効果もあります。

HPRTという再利用酵素の一種を増やす効果もあって、

このHPRTには

プリン体を再度合成して利用する働きがあります。

プリン体を分解しなければ尿酸ができなくなるので、

その意味でも尿酸値を少なくする効果が期待できます。


痛風は決して他人事の病気ではありません。

特に男性にとっては、

対岸の火事とは言えなくなってきています。

予備軍も含めると、

現在90~100万人程度がかかっている病気といわれています。

成年男性の6人に1人くらいの割合なので、

対策を講じておいてもいいかもしれません。