2022年7月2日土曜日

汗をかきすぎて痛風の発作が出るのは、なぜ

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● 尿酸値 汗

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夏場は暑くて、じっとしていても

流れるような汗が出てしまいます。

あるいは、夏じゃなくても、サウナとかね。

じゃんじゃん、汗が出てしまいます。


で。

大量の汗をかき続けると、尿酸値が上がります。

汗で・・尿酸値が上がる?


なんでか。


主な理由は、二つ。

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●人間の体には、大量の体液があって、

多くの汗をかき続けることで、一時的に

血液中の水分が減少気味になって

血中尿酸濃度が上がります。


●汗を多くかき続けることで、

尿の回数が減ります。

汗で水分が出てしまうので。


尿の回数が減ると、尿に溶けて一緒に排泄される、

尿酸の排せつ量も減るので、血液中の尿酸の濃度が

高くなってしまい、尿酸値が上がります。

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で・・・

これらの理由で、尿酸値が一時的に上昇するのですが、

尿酸値が上がったから痛風発作が出た、というわけですが、

どちらかというと「尿酸値が上がったから」というよりも、

「尿酸値が急変したことが痛風発作の引き金になった」

という感じ。


尿酸値が高いということは、

血液中の尿酸が溶けなくなってしまい、

結晶化して、体内に沈着してしまうわけですが、

だからといって、即、

痛風発作が起こるわけでもないです。


体内の関節に、尿酸結晶が蓄積しているからこそ、

痛風発作の原因になるわけですが、

尿酸値は急に高くなっても起こりやすくなりますし、

尿酸値が急に下がっても発症しやすくなります。


ほら、フェブリク錠などの尿酸値を下げる薬でも

飲み始めて、最初の2ヶ月~半年くらいは

痛風発作が頻発するケースが多いと言うでしょ。

あれは、尿酸値が急に下がってしまったから。


だから、少しでも尿酸値が急激に下がり過ぎないように、

「フェブリク錠 10mg→フェブリク錠 20mg→

フェブリク錠 40mg」

と、少しずつ段階的に増加させていくのですが、

それは、また別の話ですので、また今度。


で、汗の話の続き。

よく、痛風(高尿酸血症)の人は、

「水をたっぷり飲みましょう」って言うでしょ。

1日2リットル飲め、とか。


2リットルとか、簡単に言ってくれますが、

結構な量ですよ、2リットルといえば。


あれは、大量の水を飲ませることで、

たくさんの汗をかかせるためではなくて、

“1日の尿量を確保する”ため。


尿酸は「水に溶けにくい」という

困った性質があるので、

血液も水の一種ですから、血液にも

尿酸は溶けにくいのです。


目安になるのは、やはり尿酸値で、

「尿酸値 7.0mg/dl以上」になってしまうと、

もう、尿酸は血液に溶けなくなってしまい、

結晶化してしまいます。


だから、この「尿酸値 7.0mg/dl」以上なのか、

以下なのかを目安にして、

高尿酸血症(痛風)かどうかが判断されるわけで。


それから、尿酸は大半が尿と一緒に排せつされるのですが、

「汗からは尿酸は排泄されない」のですよ。


完全にゼロじゃないかもしれませんが、

汗から尿酸が排出される割合は、ほぼゼロです。

大半が尿。

そして、残りは少しですが、便と一緒に。

これが尿酸の、体外への排出手段。


だから、汗をたくさんかいても、

尿酸は(汗と一緒に)排泄されないのですよ。


汗からも尿酸が排出されるのでしたら、

嬉しいのですけどねえ。

いくらでも汗をかくのですが、

サウナも行きまくるのですが・・

うまくいかないものです。


痛風発作が一番多発する季節は「夏」です。

これは、いろいろな要因が重なって起こる現象です。


○夏は暑いので汗をかく→体内が水分不足になる

→尿酸値が上がる

○汗をかくと尿の回数・量が減る→尿酸の排泄が減る

→尿酸値が上がる

○夏は血管が拡張気味になる(副交感神経優位の傾向)

→白血球が活発化


この、夏の血管が拡張というのは、

冬が寒くて血管が収縮気味になるのと相反して、

夏場は血流が良くなる傾向があります。


それはいいのですが、体内で

バイキンなどをやっつける係の白血球も

活発になるので。


体内の尿酸結晶は、ばい菌じゃありませんが、

関節などに溜まりすぎた尿酸結晶が剥がれ落ちると、

あっという間に白血球が増加して、

体内の掃除係の出番です。


白血球が、その「剥がれ落ちた尿酸結晶」を

異物と思い込んで

(って、本当に体にとって異物なのですが)

攻撃します。

すると、そのとき痛みの元になる成分が出来てしまい、

そのため、痛風発作が起こってしまう、というわけで。

つまり、夏は痛風の人には要注意、というわけです。


だからといって、暑いのはダメ、とばかりに

強い空調のきいた部屋にばかりいると、体が冷えて

不調になってしまいますしね。

難しいです。


外気は暑くても、体内は冷えてしまう、

体内が冷えているということは、内臓が冷えている、

ということ。

内臓って、冷えてしまうと機能が低下しますからね。

内蔵機能が低下しているのに、

体調が良くなることはないでしょうし。


で、結局。

夏が暑いのは、仕方が無いので、

充分に水を飲んで、尿量を確保する、と。


なんか消極的な感じもしますが、ある意味、

この「水を飲む」というのも、一種の

「痛風対策」ということです。